十二日の都議選の惨敗を受けてとうとう二十日に解散の運びになりました。
これによりネット上で懸念されていた児童ポルノ法改正案は一先ず廃案となりました。
ただ、これは規制推進派が諦めたと言うよりもこの四年間の自公の数の暴力に対する反感と六月二十六日の審議での余りにも出鱈目、憶測、感情論に支配された推進派の発言、態度の数々への反発、止めとばかりの都議選惨敗に一旦体勢を整え直したと見た方が良いかも知れません。
まずは一安心かもしれませんが、まだまだ油断は出来ません。
悪意ならばまだしも、推進派は『これは子供の人権を守る為』と言う反論させ難くしている錦の御旗を持っている事に変わりありません。
今後も注意深く関心を持たないといけないと思います。
何しろ四年前の郵政民営化法案も解散後、自民公明が過半数を取った結果可決される羽目になりました。
同じ事が起これば定義曖昧、逮捕者続出の恐れもある法律が可決されるでしょう。
前回と前々回では児童ポルノ法改正案の問題点とそんな問題を全て無視して強行しようとした推進派の言動について私なりの言葉と考えで紹介していきました。
今回はこの問題がここまで大きなものに発展した発端について考えて見たいと思います。
ご存知の方も多い(と言うかネット上では知らない人はまずいないでしょう)と思いますが、五月に突然起こった『レイプレイ騒動』です。
五月頭に突然アメリカの人権団体が2006年に製造発売されたイリュージョンの『レイプレイ』と言うアダルトゲームが海外で発売されたのを受けて猛抗議を行った結果、半月後にはこのゲームが、更にコンピューターソフトウェア倫理機構(ソフ倫と略します)が自主規制を行う形で現在は沈静化しています。
読売新聞五月八日からの抜粋ですがこれが最初の記事です






少女を含む女性3人をレイプして妊娠や中絶をさせるという内容の日本製のパソコンゲームソフトに海外で批判が高まっている。
日本での販売中止を求める抗議活動を国際人権団体が始めた。
このゲームは2月に英国の国会で問題になり、ビデオ・書籍のネット販売大手「アマゾン」が扱いを中止した。
しかし、児童ポルノなどの規制が緩い日本では今でも流通している。
このゲームは、未成年と見られる女子2人とその母親を電車内で痴漢した後にレイプし妊娠や中絶をさせるまでを、コンピューターグラフィックスを使った画像で疑似体験するという内容。
横浜市のゲームソフトメーカーが2006年に売り出した。
今年に入り海外の人権団体で問題視されるようになり、英国ではこのゲームをアマゾンで入手できることに驚いた国会議員らが同国内での流通に反対する動議を提出した。
こうした動きが英国などのメディアで報じられ、英国アマゾンは2月にこのゲームの取り扱いを中止。
米国のアマゾン本社も取り扱いの中止を公表した。
抗議活動を始めた国際人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・ニューヨーク)は「女性や少女への暴力をテーマにした産業が日本で高収益を上げ、『ロリコン』と呼ばれる少女の児童ポルノ市場も巨大化している」との声明を発表。「日本政府はなぜレイプを奨励するかのようなゲームの流通を止めないのか」と政府の対応にも批判を向ける。

同団体は6日、このゲームを含むレイプ、監禁などの性暴力ゲームの制作会社や販売会社、麻生首相ら日本政府の要人らに抗議文を出すように、160か国の会員3万人に呼びかけ始めた。国内の人権団体の関係者なども、こうした活動を機に、販売会社などへ働きかけを行っている。
このゲームのメーカーは、「この商品は業界で作る自主審査機関を通っており、国内向けに販売しているもの。海外の団体からの抗議は承知しておらず、コメントのしようがない」と話す。販売本数は明らかにしていない。




私もこのゲームはプレイした事はあります。
まあ確かにストーリー自体は鬼畜でしょうし、女性が反感を持つのもわかります。
ただ、これをプレイして『よし、次は本物のレイプしよう』なんて考えたかと言えば断固としてノーの言葉を突きつけます。
あれはあくまでもゲーム、ヴァーチャルの世界です。
そこに自分を投影して疑似体験し、性欲を発散させるんです。
プレイした時は本当にお世話になりました。
現実でこの様な物を見れば性欲よりも嫌悪が先に出ますが、フィクションだと興奮します。
それに今回の児童ポルノ法改正案の騒動で改めて調べて見ますと、どうも単純な話しではなさそうです。
ご存知の方も多いですが、日本の十八禁ゲームは日本国内でのみ流通販売されます。
ですが、今回の騒動そもそもの発端はネット通販のアマゾンが日本国内のこのゲームを海外で販売してしまった事から始まりました。
それもメーカーに無断で製作した海賊版をです。
(更に十八禁である筈の『レイプレイ』を一般で、販売していたらしいですが真偽は不明です)
それをイギリスの議員が国会上で発言、抗議の結果アマゾンは『レイプレイ』を削除しました。
これが今年の二月の話しです。
とここまでならば、流通や通販の問題です。
日本国内のゲームを海外で販売したのですから。
ところがこれにややこしいものが引き寄せられてきました。
それが上記の女性人権団体『イクオリティ・ナウ』です。
この団体、今回の騒動で初めて耳にしたのでネットで検索もしてみました。
この団体のHP自体は日本語のものが無かった為詳しい事は判りませんでしたが、どうもフェミニスト原理主義団体のようです。
原理主義といえば今世紀に入りイスラム教原理主義組織が世界中でテロを頻発させている事でも判ると思いますが、極論を言ってしまえば、他の主張、思想を全て否定し『自分達の考えこそが正しい、だからお前達もそれを受け入れろ』と騒いでいる連中です。
宗教、考えは違うかもしれませんが、原理主義者はこの厄介な性格を持っています。
で、この原理主義団体が声も高らかに抗議を発し、それに恐れをなした業界は自主規制に踏み切ったのが大まかな流れです。
これらの流れをネットで調べていくとどうしても疑問が湧き上がります。
共棲は出来ないのか?
棲み分けは出来ないのかと。
『こんなアダルトゲームがあるから性犯罪はなくならないんだ』
そう思っている方がいるとしたら雑談の二で少し紹介した少年犯罪データベースを見る事をお勧めします。
規制派が眼の敵にしているアダルトゲームがない戦前はさぞかし子供達にとって安心できる時代なのかと思えば・・・
はっきり言って今よりも酷いです。
影響を受けるバカがいないとは言い切れませんが少なくても規制派が声高に叫んでいる様に、『アダルトゲームが性犯罪の元凶』、『性犯罪を助長する』と言ったアダルトゲームに全ての罪を押し付ける主張が、嘘とまでは言わないまでも大袈裟、紛らわしい類の中傷だと言う事が良く判ります。
ですが、彼らはそんな事も認めず、『性暴力を助長する』、『女性や児童の人権を侵害する』という、一見すると最もな主張を振りかざして自分達の思想と違うものを規制、ないし禁止しようとします。
そういった人達にこの言葉を贈ります。
私の言葉ではなく本からの引用ですが、この人達にある意味一番相応しい言葉です。

『完全さとは、矛盾なき体系だ。矛盾なきよう体系を整えるためには体系にそぐわぬ余りを切り捨てる所がある。(中略)完全な理論というものは必ず何かを疎外すると言う事だ』
(徳間書店 荒巻義雄著 『紺碧の艦隊』七巻二話』より)

『人間の住む世界そのものが矛盾存在だからである。善悪仲良く共存しているのが人界なのだ。これを世界の現実と認識すれば完全な不正でも完全な正義でも困る。その、ほどほど真ん中ぐらいがちょうど良いのだ』
(同作品十四巻三話より)

『とかく頭脳というものを鍛える労苦を怠る者たちは論敵を葬り去るのに、薄汚いレッテルを貼りたがるものだ』
(同作品十六巻四話より)

(九十年代にブームとなった架空戦記ものの金字塔とも言うべき名作です。後半になるにつれて戦闘よりも政治や民族、思想に重きをおいています。古本屋やブックオフに行けば比較的容易に手に入るはずです)

原理主義者はある意味完璧主義者なんでしょう。
自分達の思い通りに事が運ばなければ気が済まないのでしょうがそんな事は不可能です。
『十人十色』、この言葉から判るように、同じ様に考えていても微妙に差異が出るのが当たり前なのです。
皆さんは真の平等とは何だと思いますか?
色々答えもあるでしょう。
上記に上げました作品中に、私から見て良いと思える答えが載っていたのでそれも紹介します。

『真の平等とはなにか。繰り返し述べるように個々人の均質性を言うのではない。たとえ個々人に差異があろうとも互いに認め合う事である。階級や階層、出自や出身地、性別、学歴、所属、身なり、そうした全ての差異にかかわりなく人間として認め合うことだ。いや、人間のみならず生けとし生けるものすべての存在を認め合う事なのである』
(同作品十四巻三話)

規制派の方はこれを読んで少しでも考えて下さい。
自分にとって理解出来ない主義思想を禁ずるではなく認め合い共棲する事を。
それと児童ポルノ法や『子供の人権を踏みにじる』創作物規制の内容は知らないまでも言葉だけ聴けば良い事みたいだし賛成と思っている方がもしこれを読んでいるようでしたら、この質問をさせて下さい。
あなたは、『ドラえもん』をマンガで読んだりアニメで見たりしましたか?
そしてもしそれが児童ポルノ法違反だと言われて逮捕となったらどう思いますか?
『まさか』と思う人もいるでしょうが、アニメやマンガでよくのび太が秘密道具の使用を誤り、しずかちゃんの入浴場面に出くわす事がありましたよね?
あの場面が児童ポルノに該当する可能性が高いのです。
また、スタジオジブリの『となりのトトロ』を見た方いますか?
大多数とまでは言わないまでもかなりの方が見たと思います。
それが海外では児童虐待のヘンタイ映画だと一部で騒がれている事をご存知ですか?
物語でメイとサツキがお父さんと一緒にお風呂に入っているシーンがありますよね?
私達から見れば親子団欒の微笑ましいシーンであるはずなのにそれが海外の一部からは児童虐待に見えるようです。
何で児童ポルノ法からアニメの話をと思う方もいるでしょうが、単純所持は雑談の一と二で取り上げましたが、国会で自民公明が提出した児童ポルノ法改正案には更に三年後マンガ、アニメ、ゲーム更にはインターネットの規制を調査・検討すると書いています。
規制するかどうかではありません。
規制を前提とした調査・検討に入ると言っているのです。
そうなれば上で上げた質問がブラックジョークではなく現実に起こりえる可能性が極めて高いのです
一部のシーンが法律違反と言うだけでこれらの名作、更には数多くのマンガ、アニメ、ゲームを葬るなど許される事ではないでしょう。
現にこの法律は憲法二十一条に明確に違反しています。
ですが国会での声が規制賛成が大きければ規制に傾き今の様な状況に日本も陥るでしょう。
八月三十日の衆議院選挙には一人でも多くの人が投票して下さい。
私は支持政党はありません。
ですが今回に関しては民主に入れるつもりです。
民主にも批判、問題点もあります。
外交、安全保障、政策においての財源、数々の不安要素もあります。
ですが、言葉は悪いですがそれらは私達の生活に直接は関係ないものに過ぎません。
それよりも私達の生活を直接脅かすものを投票の基準とするべきではないだろうかと考えます。
自分と直接関わる問題を基準にして投票しましょう。
少なくても公明党は止めて置いたほうが賢明ですよ、マンガやアニメ、ゲームを愛好している方は特に。
あそこは党のマニフェストにしっかりと児童ポルノ法改正を謳っていますし、以前からこういった創作物規制にも熱心でしたから。
なお自民は調べた限りではマニフェストに児童ポルノ法改正は掲げていませんでした。
はっきりとマニフェストに児童ポルノ法改正反対を掲げているのは、調べた限りでは新党日本位でしたし。
冒頭の『レイプレイ』騒動からかなりずれましたが、問題の表面、上っ面だけでなく内容、意味を良く吟味して下さい。
悪法で泣くのは赤の他人ではありません。
私達自身なのです。

更に児童ポルノ法や創作物規制について調べたい方がいましたらこちらも拝見しては如何でしょうか?
情報も早いですし損はないと思います。

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